2006年5月 4日

●想いー三茶の焼肉、世界をめざす 西山知義(著)

想いー三茶の焼肉、世界をめざす
想いー三茶の焼肉、世界をめざす

 牛角、am/pm、成城石井を子会社に持つ、ご存知レックス・ホールディングス社長、西山知義さんの手記です。喫茶店で約1.5時間、席も立たずに一気に読んでしまいました。

 不動産事業から始まったレインズインターナショナルは、その後「牛角」の前身となる焼肉店を、奥さんとまだ不動産業務をしていた社員で始めます。西山さんのお父様は不動産関係の仕事をされていたそうなので、ご本人も含めどなたも外食産業の知識は全く無い状態からのスタートです。

 マクドナルドのアルバイトで社員の評価制度やミッションを伝える大切さを学び、焼肉店を始める際にも肉屋さんから、肉の切り方を教えてもらい、店を出してからもお客様から様々なことを学びます。

 牛角がここまで伸びた大きな要因は、社長であった(今はグループ会社の社長です)西山さんの学ぶ姿勢にあるでは無いかと思います。大学を中退して入社した最初の不動産会社でも先輩社員の横でメモを取り続け、疑問があればひとつひとつ聞いて教えを乞う姿勢は見習わないといけないなと感じます。

 それでも、ここまで拡大してきた成長の裏にある、初めての店舗出店時の苦い経験や、社内アンケートによって明るみに出た「典型的な"ワンマン社長会社"」との指摘、そして奥様の脳腫瘍、様々な経験を超えてきた西山社長の想いが率直に語られています。

 自分の想いをどう社員、アルバイトに伝えるか、その真直ぐな想いを知りたい方にはお勧めの本です。

目次
1章 必ず生きて帰ってきてくれ
2章 父の背中、少年の眼
3章 念願の独立と裏切り
4章 企業「マクドナルド」との出会い
5章 三軒茶屋に「焼肉市場 七輪」を出店
6章 「感動創造」という理念
7章 終わりのないマラソン
8章 人を動かすのは“情熱と科学”である 

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2006年5月 3日

●サラリーマン長者 吉江勝(著)

サラリーマン長者 会社を辞めずに年収と幸せを10倍にする方法
サラリーマン長者 会社を辞めずに年収と幸せを10倍にする方法

 普段はサラリーマンでありながら、複業として経営コンサルタントの肩書きも持つ吉江勝さんが、会社を辞めずに10倍の年収をあげる方法を書いた本です。

 なぜ、副業ではなく、複業なのか? 副業は、本業の片手間にやるもので、それとは違い両方とも真剣に取り組んでいるから複業なのだと吉江さんは定義しています。この本では本業や副業という言葉はこの説明以外に出てきません。これは、サラリーマンと経営コンサルタントの両方の仕事に区別無く注力しているからなのでしょう。

 複業を持つことで、サラリーマンの仕事にも自分の得意分野を生かし、また気持ちに余裕を持つことによって好循環が生まれるのだと理解しました。

 吉江さんは本当によく勉強されています。情報のインプットのために、収入の30~40%(またはそれ以上)充てているそうですが、それに見合った収入も結果として得られています。

 この本では、その自己啓発によって得られた情報や、自ら実践して成功した結果とノウハウが惜しげもなく披露されています。成功法則自体はそれほど目新しいものではありませんが、実践し、効果を上げているところが素晴らしいです。

 残念ながら、個人的には複数の事に注力できない性格なので複業を持つことは無いと思いますが、すでに独立している方、サラリーマンで上を目指す方にとっても十分参考になる話だと思います。

 サラリーマン長者を目指す方も、そうでない方も、自分を奮い立たせるために読んでみてはいかがでしょうか?

目次
第1章 サラリーマンのまま幸せなお金持ちになる
第2章 成功した人はこう考えた
第3章 経験や知識をお金に換えよう
第4章 コンテンツビジネスで稼いだ私の方法
第5章 サラリーマン長者への思考法
終章 サラリーマン長者は現代における最高の選択

 

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2006年5月 2日

●「物語力」で人を動かせ! 平野日出木(著)

「物語力」で人を動かせ!―ビジネスを必ず成功に導く画期的な手法
「物語力」で人を動かせ!―ビジネスを必ず成功に導く画期的な手法

 元日経新聞のデスクで、現在広報コンサルタントの平野日出木さんによる、人を感動させ、説得させる技法を解説した本です。すでに、smoothさんの blog でも記事がアップされていますが、先日あらためてご紹介いただき、拝読しました。

 実は、何度も書店で手に取ったのですが、見慣れないカタカナ単語があると敬遠してしまう私なので、そのまま平積みの上に戻してました(汗)。しかし、あらためて読んでみると、そのカタカナ単語さえ理解してしまえば、この方法は効果的で効率的であることが分かります。

 本書では、ロジカル(論理的)なものの伝え方は「対決モード」になると述べています。

 「対決」モードになっていれば、受信しながら頭の中で反論もします。だから内容は完全には理解されず、吸収量はさらに小さくなってしまいます。

 これは、まさにその通りで、分かりやすいように図式で表したり、反論されないようにMECEやピラミッド原則といった方法を用いるわけですが、これらの手法があくまで穴を無くすためであって、「対決モード」であることに変わりありません。

 「物語力」では、対決するのではなく、受け手は内容以上のものを想像し、感情移入し、そして共感することが出来るのです。

 では、どうすれば「物語力」を構成できるのか? 簡単に言えば、それは「型」にはめることです。本書では、V字型、逆N字型という「型」が出てきますが、まずは V字型だけ理解すれば十分でしょう。

 Vのとがった部分を過去とすれば、現在→過去から順に→現在 の流れで書く方法が V字型です。例えばこんな感じです。
1) オリンピックの柔道で優勝した場面(現在)
2) 9歳から柔道を始め、途中挫折も経験したが、ある事をきっかけに変わった(過去から現在にかけて)
3) 表彰台に上る選手の表情(今に戻る)

 障害をいかに乗り越え、決断してきたかを具体的に書くことで、物語力はより強力になります。

 この本を読む事でニュースレター、セールスレターを見る目が変わります。書いている人は「物語力」を意識しているのかは分かりませんが、結構、いろいろな場面で使われているのが分かります。私のいる業界で言うと、システムの導入事例などは、まさにこの手法が適用できます。

 提案力、文章力を上げたい方には是非お勧めしたい1冊です。

 smoothさん、良い本のご紹介をありがとうございました。

 

目次
1章 これが論理を超える「物語」の説得力!―なぜ、いま「物語力」が必要なのか
2章 「言いたいこと」を「物語形式」にするテクニック―ストーリーの「基本要素」をつかむ
3章 こんな「ストーリー展開」が、人の心をつかむ!―新聞・雑誌の「物語記事」に学ぶ
4章 実践 「物語法」をプレゼンに生かす!―「ビジネス物語」の作り方
5章 ビジネスリーダーのための「物語」活用法―自分自身を「物語」の中に埋め込む
6章 企画、営業、マネジメント 「物語」はこう生かせ!―達人に学ぶ「ビジョン」の伝え方
7章 「物語的な仕事」ができる人の共通点―仕事が面白くなる!成果も上がる!

 

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2006年5月 1日

●驚異の集客テク! 90日で鬼のように儲けるブログ術 林夏樹(著)

驚異の集客テク! 90日で鬼のように儲けるブログ術
驚異の集客テク! 90日で鬼のように儲けるブログ術

 なつきさんのブログを見ると、もっと毒のある内容かと思ってましたが、本の内容は基本に忠実です。

 自分の強みを生かして、読者に「先に与える」記事を書き続けること。その間にも、他のブログを参考にしたり、書籍、雑誌から記事をブラッシュアップしていく。あとは、トラックバックやコメント、掲示板への回答などで露出度を上げていく。

 ブログを書く側にとってのインセンティブはアクセス数やアフィリエイトの売り上げだったりしますが、なつきさんは加えて人との出会いも自分へのインセンティブとしているように感じます。まさにネットワーク思考的な考え方です。

 そのために、よく勉強してらっしゃることが本の隅々から伝わってきます。実際に他のブログを分析し、自分なりの価値を創造し、ダメならまた最初から作り直す。本は月に4~10冊だそうですが、おそらく、質の高い本を読んでらっしゃるのでしょう。

 トラックバックやコメントする際のエチケットも書いてありますし、特に初心者のブロガーにお勧めです。(って、私も初心者の域を出てないですが(笑))

 

目次
1 客がどっと集まるブログづくりの基本を知る
  ビジネスツールとして、ブログがどんどん利用されている!
  まず、集客できないブログはどんなブログかを知る ほか
2 1~30日目 しっかりとした土台をつくる!
  人気が高く、競争相手の少ない分野をみつける
  ライバルのブログを分析する ほか
3 31~60日目 小さな売上げを発生させる
  無料でできるアクセスアップ術を駆使する
  トラックバック、コメントを活用してアクセスをかせぐ ほか
4 61~90日目 大きな売上げを発生させる
  ヤフーオークションを利用する
  大本命!「メールマガジン」を活用する ほか
付録 必ず役に立つ「インターネットツール」と「ワークシート」

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2006年4月29日

●通販成功マニュアル 白川博司(著)

通販成功マニュアル
通販成功マニュアル

 金曜日の土井さんのセミナーでも値付けの一例として話題に出た本。仕事でもプライベートでも通販に全く関係の無い私はとてもじゃ無いけど買えないので(定価:31500円(税込み))、先週地元の図書館から借りてました。

 読んで真っ先に思ったのは、「色んなところで使われてるな~」ってこと。通販サイトではもちろん、このノウハウ自体も加工されて、いくつもの本や情報商材でコピーされています。(もちろん、ノウハウが一致している事もあるでしょうし、自分なりに応用した結果で、パクってるという意味では無いです)

 このマニュアルが一般書籍と違うのは、そのデータの豊富さ。そして、読者(通販業者)に対してもデータ取得と分析の重要性を説いています。(分析の仕方も解説済み)

 そして、パッケージの作り方、顧客フォローの仕方、DMの作り方、広告媒体の使い方など、大量の事例とともにポイントも詳しく解説されています。

 逆に顧客の立場になってみると、「まさにこの手法で買わされているなぁ」という感じ。

 セミナーで土井さんが、高い本を買いなさいと。高い本は誰も買わないので情報自体に希少価値があるのだと、おっしゃってましたが、これを読むとまさしくその意味が分かります。

 もう少し詳しく知りたい方は出版社のWebを。通販成功マニュアル

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2006年4月27日

●イノベーションのジレンマ クレイトン・クリステンセン (著)

イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすときHarvard business school press
イノベーションのジレンマ―技術革新が巨大企業を滅ぼすとき

 経営本やMBAに関する書籍では何度も引用されているこの本。先日、土井さんのクリエイティブ講座でも話に出たこともあり、改めて読んでみました。

 ここでは、「すぐれた経営こそが、業界リーダーの座を失った最大の理由である」とし、その理由として以下のように述べています。

これらの企業は、顧客の意見に耳を傾け、顧客が求める製品を増産し、改良するために新技術に積極的に投資したからこそ、市場の動向を注意深く調査し、システマティックに最も収益の高そうなイノベーションに投資配分したからこそ、リーダーの地位を失ったのだ。

詳細は著書をお読みいただくとして、気になった点を挙げておきます。

■「すぐれた経営者による健全な決定が、大手企業を失敗へと導く理由」

 ここでは、優良企業が新興企業にとって変わられた理由が分析されています。まず、2つの技術を定義しましょう

「持続的技術」

製品の性能を高めるもの。持続的技術の中には、断続的なものや急進的なものもあれば、少しずつ進むものもある。

「破壊的技術」

少なくとも短期的には、製品の性能を引き下げる効果を持つイノベーション。破壊的技術は既存製品の製性能を下回るが、低価格、シンプル、小型で、使い勝手が良いために、少数の新しい顧客に評価される

 破壊的技術とは必ずしも既存の技術より性能が高いわけでもありません。それでも延びていく理由を本書ではハードディスクを例に挙げ、その技術とメインプレーヤーがどう変わってきたのか克明に解説しています。


■ハードディスクの例

 ディスクのサイズは12インチから、8インチ、5.25インチ、そして2.5インチと変化していきますが、大きなディスクの方が容量もアクセス速度も優れています。それでも小さなドライブが主流になったのはコンピュータ自身が、メインフレームから、ミニコン、デスクトップパソコン、ノートパソコンへとシフトしていったからです。
そして、最初は割高だった小さなドライブも出荷台数が増えることによりコストが下がり、次第には上の市場を侵食していく事になります。


■今は無きDECの例

 もう1つ、Compaqに買収され、今はHPになったDECの例を挙げておきます。(DECとは? from Wikipedia)

 (もう10年近く前になりますが)元社員としてこの話は、かなり理解できます。当時、メインフレームが主流であった時代に、ミニコンで対抗したDECは順調に、その売上高でIBMに次ぐ存在となりました。しかし、結局その座はデスクトップパソコンに明け渡すことになります。

DECがデスクトップパソコンへの参入を失敗した理由として、こんな記述があります

「DECは、主流組織の中からデスクトップ・パソコン市場へ参入しようとしたため、二つのバリュー・ネットワークに伴う二つの異なるコスト構造を両立させなければならなかった。同社は、高性能製品では競争力を保つためコストが必要だったので、下位のパソコン市場で競争力を保てるほど間接費を削ることが出来なかった」

 DECは何度と無くパソコン市場に進出しますが、結局メインビジネスとはならず、その後Compaqに買収されることになりました。私も在籍していた間、パソコンはメインビジネスとは思っていませんでしたし、おそらく他の社員もそう感じていたのでしょう。会社全体の意識を変えるのも破壊的なイノベーションが必要なのだと思います。


■HPのインクジェットプリンタ

 成功した例としてはHPのインクジェットプリンタがあります。
 この本では、「自殺による生き残り」とされていますが、当時HPはレーザージェットプリンタで圧倒的に市場をリードしていました。インクジェットプリンタは(今もそうですが)レーザージェットより遅く、解像度は低く、1ページあたりの印刷コストは高く、そして粗利益も低い。しかし、プリンタ本体はレーザージェットよりはるかに小型で、価格も低く今後の主流になるかもしれないと思われていました。

 結局HPは既存のプリンター部門の中でインクジェットプリンタを開発しようとせず、別の地域に完全に独立した組織を新設し、インクジェットプリンタを開発します。これが、DECとの大きな違いです。

 その後のHPはアメリカではご存知の通り、大きなシェアを取っています。インクジェットはレーザージェットのユーザを奪ってしまっているかも知れませんが、その決断が無ければ、今のHPのプリンタシェアはこれほどまでにはならなかったでしょう。


■デジタルカメラは?

 最近の例としては、デジタルカメラも大きなイノベーションです。既に銀塩カメラはデジタルカメラに取って替わったといって良いでしょう。かつて小西六、後にコニカ、現在はコニカミノルタと、輝かしい歴史を持つ同社もフォト事業からも撤退しました。

■ネット証券は?

 今後の変化として、土井さんも言ってましたが、ネット証券はどうなっていくのか。大手証券会社が得意とする富裕層はネット証券へ流れていかないのか?その動向を見て行きたいです。


■自分のコア・コンピタンスを見つめるために

 この本は技術的な記述が多いため、特にコンピュータ業界をご存じない方は読みにくいかもしれません。しかし、その分からない部分を飛ばしてでも、読む価値はあると思います。自分(自社)のコア・コンピタンスは何なのか、既に活躍している企業(や人)にもイノベーションのジレンマはあります。進出したくても出来ない、その裏を読むにも、この本は有効です。(って、これは土井さんの受け売りですが)

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2006年4月26日

●1億稼ぐ「検索キーワード」の見つけ方 滝井秀典(著)

1億稼ぐ「検索キーワード」の見つけ方 儲けのネタが今すぐ見つかるネットマーケティング手法
1億稼ぐ「検索キーワード」の見つけ方 儲けのネタが今すぐ見つかるネットマーケティング手法

 先日出版記念セミナー(滝井さんのブログ)が行われ、有名社長、起業人が多数出席されたと言われる滝井さんの本。amazon キャンペーンに乗り遅れたばかりか、今頃読んでいます。

 この本は、タイトルこそ簡単に稼げそうに思わせますが、中身はなかなか極太です。全部で221ページ、ほとんど検索キーワードに関する内容です。おそらく、仮説を立てた上で、何度も何度もテストを繰り返し、反応を計測し、またテストを繰り返す。そんな労力をかけて生まれたのが、この著書では無いかと思います。

 内容はまさにタイトルどおり、稼ぐためのキーワードをどう見つけ、広告し、顧客を獲得していくかの一部始終が書かれています。インターネットで物を売るにはSEOではなく、検索キーワードの広告。それも、顧客の気持ちを考え、インターネットで検索している人は今どんな状況なのか、ホームページにたどり着いた人は次にどんなアクションを起こすのか、その行動パターンを自らテストした実績を公開した上で説明しています。

 ここまで公開してよいものだろうかと、心配になるほど充実した内容で、滝井さんの言うとおり、この本を読んでビジネスを少し考えれば1,2年で1000万円単位のお金を稼ぐことも出来るでしょう。

 ただ、勘違いして欲しく無いのは、滝井さんがこの本を出した意図を汲み取ることです。「楽して儲ける」ためではなく、その利益を本来の自分自身の事業に再投資し、より多くの人を助けるために使って欲しいと。実は私が一番納得したのは、そのあとがきでした。


目次

序章 キーワード需要からネットビジネスをはじめるという発想
第1章 手段に翻弄されて失敗し続ける人たち
第2章 売れる検索キーワードの方程式
第3章 「売れない言葉」の4パターン
第4章 クリティカル・キーワードの8パターン
第5章 キーワードビジネスを成功させる穴場の条件
第6章 「言葉の市場」でライバルに圧勝する3つの方法
第7章 今日からはじめるキーワードマーケティングの5ステッププログラム

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2006年4月25日

●そんな新事業なら、やめてしまえ! セルジオ・ジーマン(著)

そんな新事業なら、やめてしまえ! 既存の資産と能力を活かす6つの原則
そんな新事業なら、やめてしまえ! 既存の資産と能力を活かす6つの原則

 元コカ・コーラ社マーケティング最高責任者であり、現在はコンサルティング会社の会長を務めるマーケッター、セルジオ・ジーマンによる著書です。

 本の要旨としては、企業はイノベーション(革新)ではなくリノベーション(改善・修復)に取り組むべきであるとし、自社ののブランドをリノベートするための手法が書かれています。

 しかし、この本は土井さんのクリエイティブ講座、第1回目での教材で、コア・コンピタンシーコア・エッセンスとは何かを説明するために使用されました。

 リノベートするためには、自社のコア・コンピタンシー、コア・エッセンスを理解しなければ始まりません。これは人のキャラクター作りにも必要な考え方です。

 では、両者の違いとは何でしょうか?

 コア・コンピタンシーとは以下の4つのファクタに基づくものだと言います

  • 知識 - あなたが知っていること、習得してきたこと
  • 経験 - これまでにやってきたこと
  • 資源 - 持っているもの
  • 人 - 行っていることと、そのやり方

つまり、あなたのコア・コンピタンシーとは、ほかの誰よりもあなたが得意とすること、どうやればいいか知っている分野のことだ。

 そして、コア・エッセンスとは何か? 以下のように書かれています。

企業あるいはブランドとして、あなたはいったい何者か、ということだ。これは顧客とそれ以外の人が等しく持っている、あなたのブランドとの関係だ。

 結局は、コア・コンピタンシー(自分が持っているもの)とコア・エッセンス(周りが感じているもの)が一致したときに強いブランドとなるのです。コア・コンピタンシーをいくら強めても、コア・エッセンスが一致していないと、顧客は付いてきません。

 この本では、コークによるエビの養殖事業の進出や、マクドナルドのホテル建設の例が挙げられていますが、どれも成功しませんでした。それは、コア・コンピタンシーとコア・エッセンスが一致していないからです。逆にマクドナルドのコア・エッセンスである、手ごろな価格とホテルを結びつける必要があったのです。

 もうひとつ、コア・エッセンスに関する忠告としてこのように書かれています。

コア・エッセンスについて最も肝に銘じるべき事は、「これがコア・エッセンスだ」とあなたが言っても、何ら正当性を持たないと言うことだ・消費者と顧客が、これがそうだと認めるものがコア・エッセンスなのだ。

 これは、その後のクリエイティブ講座で、「自分のブランドを作る」ことにつながっています。

 新しい分野を創造することも大事ですが、自社(自分)のコア・コンピタンシーとコア・エッセンスを見直すことで十分顧客(相手)への影響度を上向かせることが出来るのだと思わせる本です。

目次

第1章 イノベーションの5つの落とし穴
第2章 いますぐ、すべきはリノベーションだ!
第3章 原則1 思考パターンをリノベートせよ
第4章 原則2 ビジネス・デスティネーションをリノベートせよ
第5章 原則3 競争的枠組みをリノベートせよ
第6章 原則4 セグメンテーション手法をリノベートせよ
第7章 原則5 ブランド・ポジショニングをリノベートせよ
第8章 原則6 顧客のブランド経験価値をリノベートせよ
第9章 すべてを連動させろ

 

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