●バーバラミントのワークブック本
ピラミッド原則を用いてわかりやすい文章を書くための解説で有名な、バーバラミントの「考える技術・書く技術」。コンサルティングファームで働く人は先輩や会社から必読とさえ言われる教科書。他の業界でも文章、とくに資料を作成する機会の多い方は皆さんご存知かと。
そのバーバラミントの本のワークブックが上・下巻で発売されています。解説本はあまり簡単な例題が無いのですが、このワークブックには大量の例題が載っています。文章例を分解し、ピラミッドに当てはめていきます。分解された文章がシールになっていて、直接ピラミッドの空欄に貼っていくこともできるという親切さ。
解説書を読んだことはあるけれど、もう忘れてしまったとか、最近ピラミッド化してないなぁという人にはよいトレーニングになるかと思います。
ちなみに、この解説書自体は読むのにかなり苦労しますので、もうちょっと易しい本を読みたい方は以下の本もお勧めです。(って、これも有名ですね)
●知的プロフェッショナルへの戦略―知識社会で成功するビジネスマン11の心得 田坂広志(著)
知的プロフェッショナルへの戦略―知識社会で成功するビジネスマン11の心得
田坂広志さんの本、3冊目です。今回は、「知的プロフェッショナルへの戦略」です。
まず初めに、この本は2002年の3月に出版、つまり今から3年近く前に書かれているにもかかわらず、古臭さを感じません。逆に、3年前に今の世の中を予見していたという意味で説得力が増しています。
知的プロフェッショナルの定義はナレッジ・ワーカーと対比することで、より明確になります。
ナレッジ・ワーカーは専門的な知識を使って仕事をしている人。
知的プロフェッショナルは、職業的な知恵を使って仕事をしている人。
簡単に言えば、知識の深さの違いです。その深い知識とは、暗黙知の事です。これは、以前ご紹介した「なぜマネジメントが壁に突き当たるのか」にも書かれています。
インターネットの普及によって、専門的な知識の価値は下がって行きます。それは誰しもが得られる知識だからです(専門知識の共有化)。単に知識を伝えているだけの人(知識の流通の中間業者)の価値も究極的にはゼロになるまで下がって行きます。
深い知識を持つ人の価値は、今後も加速度的に高まってきます。まさに一人勝ちです。ブロードバンドの発達によって今まで制限があった場所の問題もなくなります。以前はその人が海外にいれば、仕方なく近くのそこその人に聞くこともあったでしょう。でもこれからは、その人が世界のどこにいようとも連絡が取れ、ビデオ会議で直接話ができるようになれば、なおさら集中化していきます。
この本には知的プロフェッショナルになるためのキャリア戦略、自己投資の戦略が具体的に示されています。
職業的な知恵(ディープ・ナレッジ)をどのように得て行くのか。特に 知恵は等価交換であるという考え方は私の意識に深く残りました。
この本も田坂さん独特の書き方で、行間も広く取ってあり、ボリュームはそれほど多くないのですが、一つ一つの言葉が心に染みます。
■他にも読んだ田坂氏の本の感想
なぜマネジメントが壁に突き当たるのか―成長するマネジャー12の心得
目次
第1話 「ナレッジ・ワーカー」ではなく「知的プロフェッショナル」をめざせ
第2話 「知識の流通革命」が始まり「中抜き現象」が起こる
第3話 「知識資本主義」の時代は「勝者一人勝ち」の時代となる
第4話 「知識社会」では「収穫逓増」のキャリア戦略を取れ
第5話 「キャリア戦略」には「波乗り」の戦略思考が求められる
第6話 「自己投資の戦略」における「3つのポイント」を誤るな
第7話 「師匠」を見いだし「ディープ・ナレッジ」を学べ
第8話 「傾聴力」と「反省力」という「メタ・ナレッジ」を身につけよ
第9話 「智恵の等価交換」と「共感」のネットワークを築け
第10話 「個人カンパニー」の時代には「個人ブランド」を生み出せ
第11話 「パーソナリティ」こそが「最高の戦略」となる
●[再掲] 神田 昌典さんの新作
楽しい職場 なぜ働いても達成感がないのか 明日からやる気がわき出る心理学
以前ご紹介していた、神田昌典さんの新作「楽しい職場 なぜ働いても達成感がないのか」の表紙が amazon.co.jp に掲載されました。
著者は、神田昌典さんだけではなくて、神田昌典ほか になってました。
ほか、ってどなたでしょう?
●理系思考 エンジニアだからできること 大滝令嗣(著)
この本は東芝を経て、現在は組織・人事コンサルティングの会長を務める大滝 令嗣さんが元エンジニアとして、今のエンジニアに対するアドバイスを書いたものです。
今までのエンジニアは専門分野に特化しすぎたためにつぶしがきかず、同時に単純労働者的な社員を求める日本の大企業からいいように使われてきました。そのため、海外と比べても給与も低く、日本でも文系と比べて稼げていないという統計が出ています。その差は最大で5000万円!にもなると言います。また、70%が転職未経験者というのも驚きです
そんなエンジニアに対し、視野を広げるための心構えやビジネススキルを参考書籍や学習の方法を示しながら説明しています。加えて、予測や選択の場面でも得意である理系思考を使って効率的に最適解を見つけ出す事ができるという事例も載っています。
そのような得意分野を応用し、エンジニアではない全く別の分野へ転職することも可能であると言います。私も最初の会社ではエンジニアを目指していましたが、途中で売ることに興味を持ち、部署を移動、そして転職後はコンサルタントをしています。この本を読んで、もう少しエンジニアとして技術を高めておけばよかったな~と感じています。
自分はエンジニアで、マネージメントなんか知らないよという方には、自分の価値を高めるために是非読んでいただきたい本です。
目次
はじめに
序章 つぶしのきかないサラリーマンになるという危機感
1 エンジニアは本当につぶしがきかない?
2 今も変わらぬエンジニアたちの苦悩
第1章 エンジニアを大切にしない日本
1 不安感が拭えない日本の行く末
2 エンジニアを飼い殺しにする大企業
3 エンジニアとして生き残るために
第2章 見方を変えれば、今の仕事もうまくいく
1 会社に自分の人生を決めさせない
2 自分なりのテーマを見つけよう
3 ビジネススクールの是非
4 エンジニアに役立つ勉強術
5 自分の未来を切り拓くために
第3章 いつか、人の上に立ったとき
1 プロジェクトリーダーになってしまった!
2 リーダーの三条件
3 日ごろのネットワークが君を救う
第4章 エンジニアを卒業するなら
1 理系思考はすべてに活かせる
2 理系だからこそ転身しやすい職業
3 起業という選択肢
4 経営学とは無縁の経営者たち
5 転んででもタダでは起きない精神
終章 エンジニアは錬金術師
1 エンジニアは、価値創造の中心にいる
2 バラ色のエンジニア生活を送るために
3 宇宙へと広がるエンジニアの夢
4 エンジニアはつぶしがきく!
おわりに
●なぜマネジメントが壁に突き当たるのか―成長するマネジャー12の心得 田坂広志(著)
なぜマネジメントが壁に突き当たるのか―成長するマネジャー12の心得
先日、使える弁証法を読んでから、すっかり田坂広志氏のファンになり、メールマガジンや著書を何冊か読んでいます。田坂氏の著書はとても読み易いのですが、書いてある内容がとても意味深く、1度読んだだけで簡単に理解できるものではありません。また、簡単なノウハウでもありません。何度読んでも毎回新しい気付きと深い洞察力に感銘を受けます。
田坂氏は言います。「我々マネージャーが、日々のマネジメントにおいて突き当たる壁は、その深い世界に気がつくことによって、乗り越えていくことができるのではないか。その深い世界とは、暗黙知の世界である」と。
その暗黙知の欠如によって生じているさまざまな問題を取り上げ、その心得を説いていきます。
■なぜ「成功者」を模倣することができないのか?
部下が優秀なマネージャのスタイルを真似しても決してうまくいきません。どんなに模倣してもです。
「自分の能力と構成にあったバランスを掴み取る」しかないのです。
マネージャは、「何を身につけるべきか」ではなく「何を行えば身につくか」をアドバイスすべきなのです。
そのためには「言語知では決して伝えられない暗黙知が存在する」ことを認識し、「深い暗黙知は体験を通じてしか伝えられない」という厳しい覚悟が必要です。
■なぜ「動かそう」とすると部下は動かないのか?
「気配り」のマネージャは必ずしも部下から信望を集め、顧客から好印象で迎えられているとは限りません。
それはなぜか?
そのマネージャの「気配り」の奥に、密やかな「計算」があるのです。
この計算が感じられれば、部下はマネージャが期待するようには動いてくれません。部下からは上司のこころの深くが見えているからです。
ただし、以下のような場合には、「部下が動く」と感じることがあります。
- 部下がまだ若く、人間を見る目が浅い
- 部下がマネージャの人事権や決裁権などの権力を意識する
- 部下も同様に計算している
この状況では、この集団が徐々に弱体していくことは明らかです。
ではどうすればよいかという問いに、著者の田坂氏は「己のエゴを見つめること」そして、無条件に部下に共感することだと述べています。この共感を「聞き届け」と言い、必ずしも部下の意見に「賛同」することを意味していません。「正対」つまり、部下という1人の人間と正面から向き合うということです。
書物を読んだり、人から聞いても決して学ぶことができない暗黙知をどう得ることができるのか。すべては体験から得るしかない。その心構えを書いたすばらしい本です。
現在、マネージャではない方でも十分に応用できます。
■他にも読んだ田坂氏の本の感想
知的プロフェッショナルへの戦略―知識社会で成功するビジネスマン11の心得
目次
なぜマネジメントには「沈黙は金」の瞬間があるのか?
なぜ「論理的」な人間が社内を説得できないのか?
なぜマネジメントにおける「直観力」が身につかないのか?
なぜ「原因究明」によって問題を解決できないのか?
なぜ「矛盾」を安易に解決してはならないのか?
なぜ「多数」が賛成する案が成功を保証しないのか?
なぜ成功するマネジメントは「完璧主義」に見えるのか?
なぜ「成功者」を模倣することができないのか?
なぜ「経験」だけでは仕事に熟達できないのか?
なぜ「ベスト・チーム」が必ずしも成功しないのか?〔ほか〕
●神田昌典さんの新作 - 楽しい職場 なぜ働いても達成感がないのか 明日からやる気がわき出る心理学
楽しい職場 なぜ働いても達成感がないのか 明日からやる気がわき出る心理学
また amazon で見つけました。
神田 昌典さんの新作「楽しい職場 なぜ働いても達成感がないのか 明日からやる気がわき出る心理学」です。2006/01/20 発売予定です。
出版社は前回の「ザ・マインドマップ」とは異なり、おそらく初めてのプレジデント社です。(月刊誌のプレジデントには、よく記事が載っていますが)
出たらまたすぐ買うんだろうなぁ、と思いながら、amazonのウィッシュリストへ入れておきました。
月間文庫の「文蔵」での連載も抱えてらっしゃいますし、その体力、バイタリティには感服です。
●大富豪になる人の小さな習慣術 ブライアン・トレーシー(著) 金森重樹(監訳)
「カエルを食べてしまえ!」で有名な著者、ブライアン・トレーシーと金森重樹さん監訳による成功本です。
正直、内容に関しては他の成功哲学の本と、そう変わったところはありません。
自分を信じ、目標を立て、ポジティブで、倹約家。家族と友人を大切にし、自分が成功するまで諦めない。
そんなありがちな法則にも、私は1つ1つポストイットを貼っていきました。
いままで、何冊成功本を読んだのだろうと書棚を見てみると
・ユダヤ人大富豪の教え
・イット・ワークス 夢をかなえる赤い本
・成功者の告白 5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語
・チャンス―成功者がくれた運命の鍵
・マーフィー 成功者の50のルール
・成功の9ステップ
・7つの習慣―成功には原則があった!
・私の財産告白
・星の商人 -「成功の秘法」を手に入れるためのレッスン-
・ミリオネア・マインド 大金持ちになれる人―お金を引き寄せる「富裕の法則」
・7日間で人生を変えよう(CD付き)
・そろそろ、本気でお金持ちになってみませんか
・はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術
・マーフィーお金に好かれる50のルール―この法則で、あなたも幸せなお金持ちになれる
・人生は数式で考えるとうまくいく
・さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす
・すごい!自己啓発---「夢」をバージョンアップしろ!
・“儲け脳”のつくり方
書棚の左上から順番に、ざっと関連しそうな本でもこれだけありました。ほぼ、この1年で読んだ本です。
全部で250~300冊くらいは書棚にありますので、10冊に1冊くらいは、この分野の本を買っていたことになります。
自分でも正直言って驚きなのですが、よくよく考えてみると、自分にとって成功哲学の本はノウハウを求めているのでは無さそうです。逆に成功者の体験を読む事で癒しを求めているのかと感じています。
そういう意味では、この「大富豪になる人の小さな習慣術」は癒しを求める方にも、成功ノウハウを求める方にも読みやすくてお勧めです。
目次
第1章 まずは習慣を見つける
第2章 成功のマスター・プログラム
第3章 値打ちのある人間になる
第4章 成功するための習慣
第5章 大富豪になる人の習慣
第6章 報酬を増やし、出世を速めるための習慣
第7章 個人の能力を強化する習慣
第8章 他人とうまくつき合うための習慣
第9章 健康で快適な生活習慣
第10章 人格とリーダーシップの習慣
(2005/12/12 読了)
●100億稼ぐ仕事術 堀江貴文(著)
皆様良くご存知の堀江貴文社長、経営に関する内容はこの本が最初の同タイトルの文庫版です。
今の堀江社長であれば、おそらくこんなハウツーは喋らないし、本にもしないと思いますが、やはり1冊目だけあって細かな Tips が満載です。
Tips が満載と言いながら、ポストイットが少ないのは、今の私に必要がないこと、またITツールや方法に関しては単に情報が古くて今ではもっと効率的な方法があるというだけで、それ以外は今でも十分参考になる内容だと思います。
今回、特に参考になったのは、堀江社長の思考です。傍から見ると東大出身(中退ですが)の天才と思われる堀江社長ですが、実際はセールストークのために、いつも「話のネタ」を考え、準備し、何度も頭の中でロールプレイングをする地道な努力も怠りません。そして常に「自分で考える」こと、そのための情報収集方法として、メールだけでなく、人と交わる事の重要性も説いています。
今ほどストレートな書き方ではなく、文章も優しめ(今と比べると)ですが、その裏にある根本的な考え方を知るには有益な本です。
(2005/12/05 読了)